【初心者向け】コンパクトシティのメリットとデメリット【一級建築士が解説!】

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コンパクトシティって何? 知っておきたいメリットとデメリット

こんにちは! 最近、「コンパクトシティ」という言葉を耳にする機会が増えたと思いませんか? 人口減少や高齢化が進む日本で、これからの街づくりの形として注目されています。でも、具体的にどんな街で、どんな良い点や気になる点があるのでしょうか。今回は、コンパクトシティのメリットとデメリットについて、わかりやすく掘り下げてみたいと思います。

そもそもコンパクトシティとは?

コンパクトシティとは、簡単に言うと、街の中心部に生活に必要な機能(住居、商業施設、病院、学校、役所など)を集めて、人々がなるべく狭い範囲で生活できるようにする都市の考え方です。郊外に広がっていた機能をキュッと中心部にまとめるイメージですね。

なぜ今、コンパクトシティが注目されているのでしょうか。背景には、日本の多くの都市が抱える、人口減少や高齢化、それに伴う税収の減少、インフラ維持の難しさといった課題があります。街が広がりすぎると、道路や水道などの管理にお金がかかり、バスなどの公共交通機関の維持も大変になります。そこで、街を「コンパクト」にして、効率よく、暮らしやすい環境を維持しようという狙いがあるのです。

コンパクトシティの嬉しいメリット

コンパクトシティには、私たちの暮らしや社会にとって、たくさんの良い点があると言われています。

  1. 暮らしが便利になる! 生活に必要な施設が近くに集まっているので、徒歩や自転車、バスや電車といった公共交通機関で移動しやすくなります。車がなくても、買い物や通院、役所の手続きなどがスムーズにできるのは大きな魅力です。「ちょっと銀行へ」「ついでに買い物も」といった用事が、気軽に済ませられるようになるかもしれません。

  2. 街が元気になる! 中心部に人が集まることで、商店街やお店が賑わいを取り戻す可能性があります。新しいお店ができたり、イベントが開催されたりして、街全体が活気づくことが期待されます。また、新たなビジネスチャンスが生まれ、雇用が増えるという側面もあります。

  3. 環境にやさしい! 移動距離が短くなり、公共交通機関の利用が増えることで、自家用車の利用を減らすことができます。その結果、二酸化炭素(CO2)の排出量が削減され、地球温暖化の防止につながります。また、公共交通機関の利用者が増えれば、運行効率も上がり、エネルギーの節約にも貢献できます。

  4. 税金の無駄遣いを減らせる! 街がコンパクトになれば、維持管理が必要な道路や上下水道などのインフラの範囲も限定されます。これにより、インフラの維持管理にかかる費用(税金)を抑えることができます。また、公共施設を集約することで、運営コストの削減も期待できます。浮いた費用を、福祉や教育など、他の必要なサービスに充てることができるかもしれません。

  5. 高齢者や子育て世代にも優しい! 徒歩や公共交通機関で移動しやすい街は、車の運転が難しい高齢者にとっても安心です。また、病院や福祉施設が近くにあれば、いざという時も心強いでしょう。子育て世代にとっても、学校や公園、商業施設などが近くにあると、日々の負担が軽減されます。さらに、地域住民の距離が近くなることで、自然な見守りや支え合いのコミュニティが生まれやすくなるという期待もあります。

知っておきたいコンパクトシティのデメリットや課題

良いことずくめに見えるコンパクトシティですが、もちろん課題や注意すべき点もあります。

  1. 郊外はどうなるの? 中心部に機能を集約するということは、裏を返せば、郊外や周辺地域の機能が縮小する可能性があるということです。これまで住んでいた地域の商店がなくなったり、バス路線が廃止されたりして、不便になってしまう人も出てくるかもしれません。空き家が増えたり、地域の活力が失われたりする懸念もあります。

  2. 中心部の土地や家賃が高くなるかも? 便利な中心部に住みたい人が増えると、土地の価格やマンション・アパートの家賃が高騰する可能性があります。そうなると、これまで住んでいた人や、収入が多くない人が住み続けられなくなる、といった問題が起こるかもしれません。

  3. 災害時のリスクは? 人が多く集まる場所に、もし大きな地震や水害などの災害が発生した場合、被害が集中し、拡大してしまうリスクがあります。避難場所の確保や、安全な避難経路の整備など、防災対策を十分に考えておく必要があります。

  4. 実現するのは簡単じゃない? コンパクトシティを実現するためには、多くの人の合意形成が必要です。どこに何を集めるのか、今ある施設をどうするのかなど、住民や事業者との丁寧な話し合いが欠かせません。また、新しいインフラ整備や施設の移転には、大きな初期投資が必要になる場合もあります。長年かけて広がってきた街の形を変えるのは、時間もコストもかかる難しい課題です。

  5. どこも同じような街にならない? 効率性を重視するあまり、どの街も似たような風景になってしまうのではないか、という懸念の声もあります。その土地ならではの歴史や文化、景観といった個性を大切にしながら、どのようにコンパクト化を進めていくかが問われます。

まとめ:バランスの取れた街づくりを目指して

コンパクトシティは、人口減少社会における持続可能な街づくりの有力な選択肢の一つです。生活の利便性向上や環境負荷の低減など、多くのメリットが期待できる一方で、周辺地域の衰退や地価高騰、災害リスクといった無視できないデメリットや課題も抱えています。

大切なのは、それぞれの街が持つ歴史や文化、地形、住民の意向などを踏まえ、メリットを最大限に活かしつつ、デメリットを最小限に抑えるような、オーダーメイドの計画を立てることではないでしょうか。住民一人ひとりが街の将来に関心を持ち、議論に参加していくことが、より良いコンパクトシティの実現につながるはずです。

これからの街がどうなっていくのか、私たちの暮らしにどう関わってくるのか、コンパクトシティという視点から考えてみるのも面白いかもしれませんね。